Kamo mini
 3日目その2: メキシコへ行くぞ!
 エルパソ→ファレス(メキシコ)→エルパソ→サンノゼ (1998/7/5その2)
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 ここホテルCamino Realに車を置いて、歩いてメキシコへ向かう。エルパソの町もこのあたりからすでに メキシコの雰囲気が漂っている。メキシコ帽をかぶっている人や、雨傘を日傘代わりに差している人も多い。 アメリカではあまり見かけない光景だ。店先からはラテンの音楽が流れ、スペイン語が飛び交っている。 またボロい車が多く、怪しげな人もいて、町並みもなんとなく胡散臭く、ちょっと落ち着かない。

 エルパソ通りを10分ほど歩いて、サンタフェ橋に着く。橋を行き交う人や車が、想像していたよりずっと多い。 買い物のビニール袋を提げたようなおばさんも行き来していて、イメージしていた国境とはちょっと違うようだ。

 大きな道の右端はアメリカからメキシコへ、左端はメキシコからアメリカへの歩行者の通路になっている。 真ん中の車道は、メキシコからアメリカへの一方通行のようだ。国境を強行突破できないようにということだろう、 大きなブロックが道に置かれ、車がジグザグにしか走れないようにしてある。

The Santa Fe International Bridge

 さあいよいよ出国だ。パスポートが無ければ、メキシコには出ることができても、アメリカへ帰って来られないと いうことなので、もう一度かばんの中のパスポートを確認する。OK。

Rio Grande River
 パチンコ屋の景品引換所のような窓口があり、手しか見えない係の人に¢25を支払って、橋を渡り始める。 パスポートの入ったかばんを盗られないように前に抱え、国境のリオグランデ川を渡る。意外に小さい川だ。 橋の上の道路は渋滞しているが、その間を縫って食料や日用品などを売り歩く人がいる。

 5分ほどで橋を渡り切り、そのまま何の手続きもなくメキシコへ入国する。差し迫った身の危険を 感じるわけではないが、胡散臭げなこの町はどうも落ち着かない。本当の旅行通なら、現地の人と親しげに話をしたり、 買い物を楽しんだりするのだろうが、どうもそんな気になれない。日陰で立ってボーッとしている人が多く、 不気味に感じてしまう。店から聞こえてくるラテンの音楽は陽気で明るいのだが、道端には体の不自由な人が うずくまっていたり、物を売り歩く子供もいて、複雑なものを感じてしまう。

 アメリカからメキシコへ入ったら、その違いに驚くという話を聞いていたが、その割には特にカルチャーショックを 受けるというほどでもなかった。エルパソの町がもうすでにメキシコしているからだと思う。ただし店の前を通る時、 エルパソでは感じたクーラーの風を、メキシコでは一度も感じることがなかった。

 しばらく黙々と歩き、結構大きな教会のある公園までやってきた。教会の中には人がいっぱい集まっている。 涼しいからなのかとも思う。何枚か記念写真を撮って、来た道を通って帰ることにする。

Juarez

 サンタフェ橋まで戻ってきた。メキシコから出国する時もひとり¢25。アメリカドルで支払いができた。 来る時とは違って領収書(スペイン語)が付いてきた。そのまま橋を渡り、最後の関所、アメリカの入国審査となる。 係の女の人にパスポートを見せる。日本人だとわかって「How are you?は日本語なら何て言うの?」というようなことを 聞いてきた。あぁ、なんだか親しげだなぁと思いつつ受け答えしていたが、後になって思うと、もしそのときうまく 答えられなかったら、怪しい者として厳しい取り調べがあったのだろうかと思う。

 買い物帰りのようなおばさんたちは、カードのようなものを見せるだけで通っている。あのカードは何だろうか。 メキシコからアメリカへは命懸けで渡ってくる人もいると聞くが、カードひとつ、パスポートひとつを持っている・ いないで、そんなにも人の運命が変わってよいものかと思う。

 ともかく、なんとか無事にアメリカに戻って来ることができた。時計を見ると歩いてホテルを出発してから まだ1時間しか経っていない。余裕のないメキシコ観光になってしまった。

El Paso
 飛行機の出発まで少し時間がある。ホテルの前を通り過ぎて、その先にある公園で色鮮やかなワニの噴水を見てから、 ハンバーガー屋さんJack in the Boxで休憩する。しばらく涼んでから、ホテルに停めてある車を取りに戻る。 駐車場の料金を払う場所が見当たらなかったが、このホテルでは食事もしているからいいかと思いつつ、そのまま出てきた。

 約30分足らずで空港に到着。手前のスタンドでガソリンを入れて、空港で車を返却する。空港のカウンターで サンノゼまでの搭乗手続きをして、エスカレータで2階へ向かう。

 エスカレータを上り切ったところに、身なりのしっかりしたお兄さんが立っている。ゲートを探すのに 必死になっていてお兄さんを無視していたが、「Immigration(移民)か?」と聞いているようだ。移民ってなんや、 日本からアメリカに来ているという意味では移民なんやろか、でもこちらで永住するわけともちゃうし・・・と あれこれ考えているうちに、お兄さんは胸元からなんだか権威のありそうな手帳をサッと取り出して、パスポートを 見せるように言った。

 おいおい、わたしら確かに大きなかばんを抱えてキョロキョロしているかもしれんけど、こざっぱりした格好して、 首からデジタルビデオカメラもぶら下げて、どう見ても、「アメリカ国内に住む日系企業の駐在員が、連休を利用して カールスバッドやホワイトサンズを旅行した後、ちょっとメキシコにも足を運んだものの、あまり馴染めずに 帰ってきたところ」にしか見えへんと思うけど・・・。

 お兄さんがいきなりパスポートを奪って走って逃げて行ったりしないかなぁとビクビクしながら待つこと十数秒、 何事もなかったようで、返してくれた。空港内にもこういうチェックがあるということは、メキシコからの不法入国者が それだけ多いということなんだと思う。おそらくメキシコ人だけではなく、メキシコ経由で他の国から外国人が 入ってくるということもあるのだろう。

 アメリカウェスト航空2128便、エルパソを午後5時30分に出発。フェニックス着5時37分(時差1時間)。 フェニックスの空港で乗り継ぎの飛行機を待つ間、売店で売っているガイドブックの中の写真に、 あの小さな恐竜を見つけた。フェニックスを午後6時26分出発予定のアメリカウェスト航空2292便は、 乗務員が来ないということで出発が少し遅れたが、午後7時すぎ、サンノゼへ向かって飛び立った。



あとがきその1 時差の話。帰ってきてから調べてわかったこと。
 タイムゾーンは、次の通り。カリフォルニア州(サンノゼ)はPacific(これをゼロとして)、 アリゾナ州(フェニックス)はMountain(+1時間)、ニューメキシコ州(カールスバッド・ホワイトサンズ)も 同じくMountain。またほとんどのテキサス州はCentral(+2時間)だが、エルパソを含む西部はMountainとなる。
 夏時間(+1時間)については、アリゾナ州とハワイ州、インディアナ州の一部では採用されていないということだ。
 これらを簡単にまとめると次の通り。

時差(日本の夜中12時が、こちらでは何時になるか)
Time Zone Pacific Mountain Central
地域例 カリフォルニア州 アリゾナ州 ニューメキシコ州
テキサス州西部
テキサス州中東部
冬期 7時 8時 8時 9時
夏期 夏時間あり
8時
夏時間なし
8時
夏時間あり
9時
夏時間あり
10時

 ということは、行きの飛行機で、エルパソへ到着する直前にスチュワーデスさんが言った時刻が間違っていたということ になる。隣に座った姉ちゃんも時刻の点では間違っていたが、テキサス州の中でもエルパソの付近だけ別の時間帯になって いるというのは正しかったようだ。
 ぼくの時計とペコの時計の指す時間が異なっていたのは、どうやらぼくの時計が前回イエローストーン (ワイオミング州。タイムゾーンはMountain)に行った後、時差の調整をしていなかったからだと思われる。

あとがきその2 小さな恐竜の正体は、ツノトカゲ(horned lizard)という、このあたりの砂漠地域に生息するトカゲの 一種だそうだ。horny toad(toad=ヒキガエル)ともいうらしいが、そういわれると確かにカエルのようにも見える。



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