Kamo mini
 3日目その1: 小さな恐竜がいたぞ!
 アラモゴルド→ミサイルレンジ→エルパソ (1998/7/5その1)
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 モーテルのロビーにサービスで用意されているパン・コーヒー・オレンジジュースで朝食を済ませて、 8時に宿を出発する。

 エルパソへ行く前に、ホワイトサンズを通り過ぎ、さらに先にあるミサイルレンジに立ち寄ることにする。 アラモゴルドからの道US-70は、道幅も広く、また前には急峻なオルガン山脈が立ちはだかっていて、 その眺めがすばらしく快適なドライブだ。

Organ Mountains

 ミサイルレンジは、アメリカ空軍のミサイルの試射場で、その管轄範囲は広大で、ホワイトサンズ国定公園も 完全にその範囲内に入っている。

 出発して約1時間、山が目前に迫ってきた頃、道路を左にそれてミサイルレンジに続く側道が出てきた。 来た道の下をくぐり、ミサイルレンジの入り口まで向かう。なんとなく、軍隊っぽい、物々しい雰囲気になってきて、 緊張が高まる。いよいよゲートに到着。カリフォルニア州の運転免許証を見せたら、レンタカーの契約書も提示するよう 求められた。

White Sands Missile Range

 入門許可証をもらい、中へ入る。入ってすぐ左手にロケットパーク(ミサイルパークとも)という広場があり、 ロケットやミサイルの実物が展示してある。それに併設する博物館(White Sands Missile Range Museum、 博物館と言ってもプレハブ)は平日しかやっていないようだ。ロケットパークの駐車場に車を停める。 自分たち以外には誰も来ていない。ロケットパークの中だけは写真を撮ることが許されているということだ。

Lizard
 車を降りると、地面に奇妙な形をした生き物がいる。まるで恐竜を小さくしたかのようだ。トカゲの仲間なのだろうか。 いくら接近しても逃げる様子もなく、むしろこちら向かって来るようでもある。なかなか人懐っこい感じだ。

 ロケットやミサイルが立ち並ぶ公園の中に遊歩道が続いている。長崎に落とされた原爆の模型が展示されている。 その実験場となったトリニティサイトはここから約100マイルほど北に行ったところだという。湾岸戦争の時に 話題になったパトリオットミサイルもある。

 普段の生活の中で、あるいは旅先で出会う人々から受ける印象では、アメリカ人は、家庭を大切にする、 明るくフレンドリーな人々ばかりだというイメージがあるのだが、やはり一方では世界一の軍事力を維持するための 殺人兵器の開発が行われていて、そういうこと抜きでアメリカを語ることができないのだという現実を再認識する。

 実物大の、大きなミサイルが立ち並ぶ光景は壮観だが、その本当の使い道を考えると、軽い気持ちで見物していては いけないと思う。これらの開発には最高の技術と膨大な資金が費やされていることが想像できるが、そういうエネルギーを、 もっと他のところに向けることはできないものかと感じつつ、遊歩道を歩く。前の方をサッと駆けていくものがいる。 ウサギだ。荒れ地の中の茂みに隠れていった。

Rocket Park
 一通り歩いて、そろそろ帰ろうかとしていた時、迷彩色のジープのような大きな軍用車が停まり、 中から迷彩色の服を着た3人の軍人さんが降りてきた。何もやましいことはしてないと思うものの、 どうしても緊張してしまう。よし、こちらから声をかけよう。Hi!

 Hi! ほっ、よかった。ちゃんと返事が返ってきた。特にわれわれをどうこうしようというわけではなさそうだ。 そのあと彼らもカメラを取り出して、記念撮影をしたりしていた。

 来た時に見た小さな恐竜が、まだ車の近くにいる。しばらくにらめっこをしていたが、あまり動じる気配もない。 まったくこの生き物は、人を不思議な気持ちにさせてくれる。

 9時40分頃ロケットパークを出発。何事もなく無事ゲートを出ることができ、ほっとして走っていたところ、 前から来た車が突然ランプをチカチカし始めた。ゲッ、しまった。スピードか。全然出しているつもりはないのだが、 ついつい出てしまう。対向車に捕まるのは、ブライスキャニオンのときと一緒だ。覚悟を決めて車を停めて待っていると、 案の定、車はすれ違ってすぐUターンして戻ってきた。警察だか、軍隊関係の人かよくわからないが、注意するだけで 許してくれた。あぁよかった。ブライスキャニオンのときもそうだったが、やばいと思ったら、あわてずに車を停めて おとなしく待つのが切符を切られないコツなのだろうかとも思う。それにしても、アメリカは自由の国だといいながら、 スピード違反の取り締まりは、なかなか厳しいものがある。みんなの安全を守るためには良いことなんだろうけど。

 オルガン山を越え、エルパソへ向かう。ラスクルーセスでI-10に乗り、しばらく行くとエルパソの町が見えてきた。 途中のガソリンスタンドには、1ガロンあたり$1を切っているところもあった。安い。

 エルパソからは、国境のリオグランデ川を越えてメキシコの町ファレス(Juarez)に歩いて渡りたいのだが、 そこまでどうやっていけばいいかわからない。メキシコまでは何本かの橋が架かっている。来る前の調査によると、 どの橋からでも同じように入国できるが、ファレスの町中へ行くにはサンタフェ橋(The Santa Fe International Bridge) を渡るのがよいということだ。来ればなんとかなるだろうと思っていたが、レンタカー屋さんでもらった地図を見ても 橋の名前は書いてないし、今走っている道路の標識を見ても橋の名前の表示がなく、どこに行けばよいかわからなくなる。

Hotel Camino Real

 取りあえずエルパソの町の中心に近そうなところで高速I-10を降りる。サンタフェ橋がなかなか見つからず右往左往する。 川沿いの高速375を走っていると、川の向こうにメキシコの国旗が風に翻っているのが見えて、気持ちが高まってきた。 結局いくつかある橋の中の一番西側、エルパソ通り(El Paso St.)から続く橋がサンタフェ橋だった。 高速のI-10からであれば、No.18、Mesa St.で降りれば良かったようだ。

 11時40分頃、町中にある高級そうなホテルCamino Realの地下の駐車場に車を停める。そのホテルの1階のレストランで、 バフェ形式(日本でいうバイキング)のブランチを食べる。この旅行中しっかりした食事がほとんどできなかったので、 久しぶりのごちそうに満足する。ちょっとくせのある食べ物もあったけど。ふたりで$34.53だった。



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