Kamo mini
 7日目(最終日): ビッグホーンシープを求めて
 セントメリー→ハイライントレイル→ウェストグレイシャー→カリスペル→サンノゼ (1998/8/15)
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 チェックアウトを済ませ、朝食の時間も惜しんで出発。昨日のうちに買っておいたお菓子と果物を車中で食べる。 朝もやの中、セントメリーレイクを左手に見ながら走っていると、右手にキツネのようなオオカミのような動物が姿を見せた。 コヨーテだろうか、慌てて停まろうとしたが、動物は山の方に逃げて行った。

Piegan Pass Trail
 ビッグホーンシープを求めて、昨日レンジャーさんに教えてもらった場所へ向かう。最初の目標は、Logan Passの手前、 Piegan Pass Trailheadから北へ川沿いに進んだあたり。路側帯に車を停めて、トレイルへ向かう。

 周りの山を見ながら、川沿いの道を歩く。何も見えない。けど、ひょっとすると、昨日のイブニングスポットチェックの レンジャーさんが持っていたような双眼鏡を使えば、山の斜面にビッグホーンシープの姿が見えるのだろうか。

 いくら進んでも、ビッグホーンシープの姿は見えない。20分ほど進んだところで、道もなくなったので、 引き返すことにする。

 次は最後のチャンス、ローガンパスまで車で行き、そこからハイライントレイルを歩く。朝も早いので、 ローガンパスの駐車場もまだ混んでいない。

 ハイライントレイルはずっと先の方まで続いている長いトレイルなので、どこまで行って引き返してくるか、 時間を睨みながら進むことになる。ローガンパスの駐車場を出発し、すぐ近くにある大陸分水嶺の標識を越え、 長い坂を下って行く。

 山の中腹に取りつけられたトレイルを歩く。目の前には高原の山々が広がり、下にはゴーイング・トゥ・ザ・サンロードも 見え、とても雄大な景色を楽しむことができる。途中、右には山の壁が迫り、左は崖っぷちになっていて、 ちょっと怖いところもある。見通しの悪いところはクマ避けの鈴を鳴らして歩く。ビッグホーンシープ、いるかなぁ。

Highline Trail

 帰りの飛行機の時間を考えれば、12時過ぎにはローガンパスを出発しなくてはいけない。 ハイライントレイルを歩き始めたのが8時半ごろだから、10時45分頃には引き返さなくてはいけない。 時間があまりない。

 前の方にはおばさん達ふたり連れが、双眼鏡であたりを見ながらゆっくり歩いている。時間がないわれわれは、 おばさん達を追い抜いて、どんどん進む。急げ、急げ。

Flower

 途中で岩の上にずいぶん大きなネズミのような生き物がいる。大きい。じっとして動かないぞ。 ズングリしているけど、かわいい。雄大な景色をのんびり見ているのが、なかなか絵になる (後でこの動物こそがマーモットで、ビジターセンターの周りにチョロチョロしていたのは コロンビアングラウンドリスだということがわかる)。あとで見たテレビによると、マーモットは冬眠が長く、 夏の3ヶ月間しか活動していないそうだ。

Marmot
 前方から人が歩いて来る。聞いてみることにしよう。ビッグホーンシープを見たかと聞くと 「YES」とお姉さんが答えてくれた。十数分前に見たという。おぉ。途端に元気が出たぞ。走れ、走れ。

 10分くらい、息を切らして走る。すると目の前の山の壁に、白い動物の群れがいた。おぉこれか、と思ってよく見ると、 マウンテンゴートのようだ。うーん、マウンテンゴートにはもう会ってるからなぁ。お姉さんが言ったのはもしかして このマウンテンゴートのことだったのかなぁ。でも自信たっぷりにYESって言ってたもんなぁ。 ちゃんと大きなツノを持っていたか、とか、そういう聞き方をした方がよかったかなぁ。

 ちょっとがっかりして休んでいると、後ろから、さっき追い抜いたおばさん達が追いついてきた。 あそこに見えるのはマウンテンゴートだけど、われわれはビッグホーンシープを探しているんだ、 という話をすると、なんとおばさん達、来る途中でビッグホーンシープを見たという。ということは、 われわれはそれを途中で見過ごしてしまったということだ。がぁーん。高い山の上の方に、じっと座っていたらしい。 ツノもあったという。ショック。追い抜いたときにちょっと話でもすれば、ひょっとしたらその近くで見ることが できたのかもしれない。これは悔やんでも悔やみきれない。

 時間がなくなってきた。もうここまで来たのだから、さっきのお姉さんの言葉を信じて、もう少しだけ、 あと10分だけ進もう。ひょっとするとビッグホーンシープがいるかもしれない。前には峠のように急な坂道が続いている。 あの坂道の頂上まで行こう。もしダメでも、帰りはおばさん達が見たというビッグホーンシープに会えるかもしれない。

Highline Trail

 マウンテンゴートの群れを右手に見ながら坂道を登る。走れ、走れ。息を切りながら坂道を登り切ると、その先は 広大な高原の景色が広がっていた。ああ、雄大だ。ビッグホーンシープはいなかったけど、この景色はなかなか雄大だ。

 休憩しているとさっきのおばさん達がまた追いついてきた。雄大な景色をバックに写真を撮ってもらって、 帰ることにする。カリフォルニアのサンノゼに帰るんだという話をすると、なんとおばさんの生まれがサンノゼだ ということで、ちょっと話が盛り上がった。

Mountain Goat
 来るときに見たというビッグホーンシープがいた場所の特徴を聞き、おばさん達に別れを告げて、いざ引き返す。

 さっき見たマウンテンゴートの群れがいなくなっているぞ、と思ったら、山の斜面を歩いて、 別のところへ移動したようだ。草を食べているのかなぁ。みんなで群れになって動いて行く。かわいいなぁ。

 ビッグホーンシープは、ずっと上の方、岩の上に座っていた、ということだ。山の上の方をずっと見上げながら、 戻る、戻る。なかなか見つからない。

 トレイルを歩く人もずいぶん増えてきた。会う人会う人にビッグホーンシープを見たかと聞き続けるが、 誰も見ていないようだ。もうだめかな。

 途中で、来るときに見たマーモットにまた出会った。マーモットにエサをやろうとしているおばさん軍団がいる。 アカンでおばはん!アメリカの国立公園のいいところは、動物が野生のままでいるところ。それが自然というもの。 エサをやって、生態系を破壊して、どないすんねん。

 もうどこかに行ってしまったのか、あるいは肉眼で見ただけでは普通気付かないような遠いところにいたのか、 結局ビッグホーンシープには会うことはできなかった。とても残念だけど、また今度だね。

Highline Trail

 予定通り12時すぎにローガンパスに戻って来た。少しビジターセンターに寄っておみやげを買ってから、出発。 やっぱりローガンパスの駐車場は昼になると混雑している。

 ゴーイング・トゥ・ザ・サンロードをひたすら下る。3日前に泊まったウェストグレイシャーを通り過ぎて、 もうグレイシャー国立公園とはお別れ。カリスペルの空港へ向かう。

Lake McDonald

 田舎町をいくつか走り抜け、快調に空港までやってきた。空港のそばで、車にひかれた鹿が一頭、道端で倒れていたのが かわいそうだった。ガソリンスタンドに行く前に空港に着いてしまったが、出発までにまだ時間があるので、 ガソリンを入れに行く。空港のすぐ近くにあるだろうと思って走り出したが、結局一番近くのガソリンスタンドまで 10分以上かかった。

 カリスペル空港を予定通り午後4時25分に出発、シアトル・タコマ空港で乗り換えてサンノゼへ。 今回はビッグホーンシープには会えなかったけど、美しい高原植物と、雄大な高原の景色、 マウンテンゴートやクマ、野ウサギ、マーモット、コロンビアングラウンドリスなど、 野生の動物と出会った楽しい思い出を胸に帰途に着いた。





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