Kamo mini
 6日目: 氷河を見る
 セントメリー→メニーグレイシャー・グリンネルグレイシャー→セントメリー (1998/8/14)
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Many Glacier Hotel
 セントメリーロッジアンドリゾートのレストランで朝食。宿泊客にくれるクーポン券を使って、 一人$3で食事ができる。メニューにバッファローのソーセージというものがある。 テーブルの上の品書きによると、低カロリーながら栄養があって牛肉よりも良いようだ。 イエローストーンではあんなに大切にされていたバッファローなのに、それを食べるって、ちょっと。。。 食用に育てられているからいいんだってことなのだろうか。どうしようか迷ったが、めったに無い機会だと思うので、 注文する。バッファローのソーセージが出てきた。濃厚な味で、悪くない。あんなにかわいい目をしたバッファロー、 食べてしまった。。ペコさんはグレイシャーでとれたというハックルベリーのパンケーキを頼んだ。こちらもおいしい。 クマもハックルベリーは大好物で、よく食べるそうだ。

 出発が少し遅くなった。7時20分頃にロッジを出発。50分ほど走ってメニーグレイシャーに到着。 湖に映る山がきれい。まるで水面が鏡のように景色が対称に映っている絵葉書をよく見るが、 まさにこの目の前のメニーグレイシャーレイクが今そうなっている。見事だ。 残念なことに船の出発まで時間があまりないので、すぐに船乗り場のあるメニーグレイシャーホテルに向かう。

 ホテルの売店でお菓子と水を買い、ホテルの裏手にある船乗り場に急いで行く。船乗り場の前にはこれから船に乗って グリンネルグレイシャーのハイキングツアーに行く人たちが集まっている。中に引率のレンジャーさんもいる。

Swiftcurrent Lake

 お金を払って船に乗りこむ。船は8時半に出発。スウィフトカレント・レイクを進む。湖に山が映って、 言葉も出ないくらいに美しい。よく考えてみると、どこに行ってもたいてい景色が美しいのは朝だという気がする。 旅行では早起きは三文、というか実際$300くらいの得だと思う、別にこの数字には根拠ないけど。

 船を降り、さあハイキングが始まるぞと思っていたら、レンジャーさんの挨拶もなしにみんなどんどん歩いていく。 ちょっとペースが早いぞ、と思っていたら、船の乗り継ぎだった。

Swiftcurrent Lake

 今度は別の船に乗ってレイク・ジョセフィンを進む。湖を渡り切って船を下りるとき、ワッシャーのような 鉄のリングを受け取る。多分帰りの船に乗るときに見せればよいのだろう。大きさも不揃いで、 ガラクタ置き場に行けばいくらでも転がっていそうなものだ。 まあ、こういうところでそんなズルをする人もいるとは思えないが。

Briefing
 ガイドをしてくれるレンジャーのおじさんがみんなを集めて話をし始めた。 レンジャーさん、細いなぁ。ハイキングでは、無理に付いて来ようとせず、自分のペースで歩けばよいとか、 クマに会わないように見通しの悪いところでは叫ぶのだとか、一通りの注意が終わって、 さあ、いよいよグリンネル氷河へ向けてハイキングだ。

Ranger
 一列になって歩いていく。どうやら日本人は誰もいないようだ。流れの速い川にかかった橋を渡る。 この川の水は氷河が融けて流れてきているもので、湖の色がきれいな水色をしているのは大量の砂の微粒子が 川で運ばれてきて光を乱反射させているからだそうだ。

 30分に一度くらいのペースで休憩を取りながらトレイルを進む。山を登って行くにつれ、 左手下方のレイク・ジョセフィンがどんどん遠くなっていく。

 緑の森に水色の湖、とても美しい。 レンジャーさんが遠くを指差している。湖に流れ込む川のほとりにムースがいるということだが、 よくわからなかった。

 休憩のたびに、高原植物のこと、動物のこと、地質のことなどを、明るく丁寧に教えてくれる。 レンジャーさん、かっこいい、細いけど。運がよければビッグホーンシープやマウンテンゴートにも会えるそうだ。 楽しみだ。

 日差しが強い。ひなたを歩いているときはたいへん暑い。一行の中でも、おデブさんたちは遅れ始めた。やっぱり。

 レイク・ジョセフィンの次には、また別の湖、グリンネル・レイクが見えてきた。遠くの方には目的地である氷河、 グリンネル・グレイシャーも見えるが、まだまだ遠い。このあたりも大昔は海の底だったようで、地層がそれを 物語っているそうだ。

Hiking

 休憩のとき、日陰になる場所を探していると、アメリカ人の老夫婦が場所を詰めて座らせてくれた。 日本人だというと、おじいさんは昔校長先生として日本に住んだこともあると言っていた。 日本語はあまり話せそうな感じじゃなかったけど。

 アメリカの国立公園のトレイルを歩いているとすごく元気なおじいさんやおばあさんに出会うことがある。 それにしてもこのトレイルおじいさん達にはちょっときつい気がする。

Grinnell Lake

 高原植物が美しい。トレイルの途中に上から滝が流れ落ちているところがある。暑い中、滝の水飛沫はすごく気持ちいい。 滝に打たれて、ペコさんも大喜び。

Flower

 急な坂を登ったところで、ようやく昼ご飯。時刻は11時半。幕の内弁当でも広げたいところだが、 アメリカの観光地では当然そういうものは手に入らないので、船に乗る前にホテルの売店で急いで買ったお菓子と オレンジジュースが昼ご飯となる。水もあまりたくさん持ってきていなかったので、のどは渇いているけど、 がぶ飲みはできない。レンジャーさんが近くに来たので、滝の水を飲んでもよかったのか聞いたところ、 「YesかNoかと言われると難しい。緊急時なら飲んでもよいが、普通は薦めない」ということだった。 バクテリアや寄生虫がいることもあるようで、よく見るとガイドブックにも、飲むなら1分間以上沸騰させてからと 書いてあった。

 ここまで来るとグリンネル・グレイシャーまではあと一息だ。12時20分頃、出発の声がかかる。 30分ほど歩いて、氷河の真下にある湖、アッパー・グリンネル・レイクに到着する。ここでツアーは解散。 レンジャーのお兄さん、どうもお世話になりました。

 遠くに見えていた氷河が、今は手に取るように見ることができる。日差しが強いが、湖には氷が浮かび、 水もたいへん冷たい。湖岸の岩はほどよくひんやりしていて気持ちがいいので、靴を脱いで岩の上で寝転ぶ。 湖からヒンヤリした風も吹いて来て、とても気持ちいい。湖に浮かぶ氷のそばに水のボトルを浮かべて冷やす。

 昔の氷河はもっと大きかったそうだが、地球の温暖化もあって年々小さくなっているようで、 グリンネル・グレイシャーもあと数十年もしないうちに無くなってしまうという。確かにわかる気がする。 さっきレンジャーさんも、昔は氷の上を歩いてあそこまで行けたと向こうの氷河を指差して言っていた。

Upper Grinnell Lake

 氷河を眼前に、湖のほとりで少し休んだあと、2時頃帰路につく。今までずっとあたりをキョロキョロ見ながら 歩いてきたが、マウンテンゴートや、ビッグホーンシープ、いなかったなぁ。

 帰りは下り坂で、来たときに比べるとずっと楽だ。お昼ご飯を食べたところや、滝に打たれたところを通り過ぎ、 右手に湖を見下ろしながら、どんどん戻る。日差しがきつい。帰りの船は3時半と4時半にあるということだが、 3時半に乗るのはちょっと厳しいようだ。

 下の方を見ると、レイク・ジョセフィンの船着き場からちょうど3時半の船が出発して行くのが見えた。 その15分後くらいに船着き場に到着した。先に老夫婦がいて「すんでのところで船に乗り遅れたんじゃよ」と 残念そうにしている。

 湖は水がきれいだ。湖面から湖底の石が見える。ペコさんは靴を脱いで湖の中に入って遊び始めた。 ちょっと水が冷たいようだが、気持ちよさそう。そのうちちょっとずつ人が船着き場に戻ってきた。 人が来るたびにおじいさん「すんでのところで船に乗り遅れたんじゃよ」の説明をしている。 でも、これがアメリカ人のいいところで、そういう話をきっかけに親しげに会話が始まる。 普段でも、アメリカ人同士が親しげに話しているので、知り合いだったのかと思っていると実はそのふたりは 初対面だったということがよくある。こういうことって簡単に真似できるものではなく、とてもうらやましい。

 レンジャーのお兄さんも船乗り場に戻ってきた。どこに行っていたのだろう。しばらくすると、お姉さんがやってきて、 レンジャーさんと、なんだかイイ感じ。おいおい、いいのか、レンジャーさん。

 来るときにもらった鉄のリングを渡して、船に乗り込む。

 レイク・ジョセフィンの船を下りたところで、イイ感じのレンジャーさんとお姉さんは、一緒にどこかへ消えて行った。 おいおい、本当にいいのか、レンジャーさん。

 来たときと同じように少し歩いて、船を乗り継ぐ。少し待ってから来た船に乗り、 メニーグレイシャーホテルまで戻ってきた。船頭のお兄さんがギャグを連発していて船内大爆笑だったが、 残念なことに英語の意味がよくわからなかった。

 船着き場にあるホテルで、オレンジジュースを買って飲む。水をあまりたくさん持って行かなかったので、 ハイキングの間、ずっと水を控えめにしていたこともあり、冷たいオレンジジュースがとてもおいしい。 ちょっと休憩してから、売店で買い物をする。一昨日トゥーメディスン・レイクで子供が持っていた、 ペコ念願のマウンテンゴートのぬいぐるみが売っている。一番かわいいのを選んで購入。

 その後、車に戻って出発。メニーグレイシャーのビジターセンターへ行く。こぢんまりとしている。 急に雨が降ってきたので、ビジターセンターで一休み。ビジターセンターにいたレンジャーの姉ちゃんによると、 秋になって気温が下がってくると、ビッグホーンシープもこのビジターセンターのあたりまで下りてくるそうだが、 今の季節はまだ山の上の方にいるということだ。

Evening Spot Check
 6時からスウィフトカレントモーターインの駐車場で、イブニングスポットチェックという催し物があるということで、 出かける。レンジャーさんと一緒に、双眼鏡で周りの山々にいる動物を観察しようというものだそうだ。 行って待っていると、レンジャーのお姉さんがやってきて、双眼鏡をセットし始めた。

 最初は北側にある山の斜面にマウンテンゴートを見つけたそうで、お姉さんが三脚にセットした双眼鏡の後ろに、 みんな一列に並んで順番に覗く。肉眼で見ていても、またカメラの望遠で見てもさっぱりわからないのだが、 高倍率の双眼鏡で見ると、確かにゴートがいるのがよくわかる。たいしたもんだ。

 しばらくすると観光客の親子連れが、南側の斜面にクマを発見したと言い出した。レンジャーさん、 慌てて双眼鏡のセッティングを変え、クマを探す。すぐに見つかったようだ。レンジャーさんが指差す方向を ビデオカメラの望遠で見るが、よくわからない。みんなの様子を見ていると、やはりクマというのは人気者のようで、 ゴートを見ているときと気合いの入れ方が違う。列に並んでレンジャーさんのセットした双眼鏡を覗くが、 クマは見当たらない。クマも動くようで、またレンジャーさんがセッティングを変えていた。

 ここでもビッグホーンシープには出会えなかった。

 薄暗くなってきたので、セントメリーロッジに戻ることにする。車で45分ほど走り、7時半頃に到着する。

 グレイシャーに来てから、マウンテンゴートにも、クマにも会うことができた。ただ、特徴的な角を持つオスの ビッグホーンシープにまだ会えていないことが心残りだ。

 セントメリーのビジターセンターは夜遅くまで開いているようなので(夏場は9時まで)行ってみる。 ここでも親切そうなお兄さんがいたので、明日の午前中になんとしてもビッグホーンシープに会いたい旨を伝え、 アドバイスを聞く。

 レンジャーのお兄さんによると、ゴーイング・トゥ・ザ・サンロードの途中、ローガンパスの少し手前にある ピーガンパストレイルヘッドから、すこし川沿いの道を上流に行ったあたりで、数日前何頭かのビッグホーンシープを 見たという。あるいは、ローガンパスからハイライントレイルを歩くと会えるかもしれない、ということだ。

 ロッジのレストランで夕食を食べたあと、ペコさん、デリでハックルベリーアイスクリームを買って食べる。 すごくおいしかったようだ。おみやげに買って、家に帰ってから食べたハックルベリージャムも甘過ぎず、おいしかった。

 明日はいよいよ最終日。



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