Kamo mini
 2日目その2: あっぱれ、デビルスタワー!
 カスター州立公園→デビルスタワー国定公園→スペアフィッシュ (1999/7/4その2)
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 順調に行けば7時半頃にはデビルスタワーに到着できそう、今の時期は9時ごろまで明るいので、 そのくらい時間があれば、なんとかなるだろう。もし時間がなければ、デビルスタワーの先、 ヒューレットという町にもモーテルはあるようなので、そこで泊まって朝のデビルスタワーを見るのもよいかもしれない。

 このあたりの高速道路は、日本やカリフォルニアと違って、出口の表示が地名だけではなく、Exit 57というような数字で 示されている。この数字は、その高速道路の起点からの距離(マイル数)になっているため、 目的地までの距離がすぐにわかって、たいへん便利だ。

 ただし、ラピッドシティからデビルスタワーまでの場合は、間にサウスダコタ州とワイオミング州の州境があって、 そこが高速道路の起点となることから距離表示が変わるため、ちょっとした計算が必要になる。 ラピッドシティ(Rapid City)にはExit 60, 59, 58, 57, 55があり、西に行くに従い、 スタージス(Sturgis)Exit 30、スペアフィッシュ(Spearfish)Exit 14, 12, 10と、数字が減ってきて、 ワイオミングとの州境でゼロとなる。州境を越えた最初の出口はExit 205で、これも西に行くに従って減っていく。 デビルスタワーへの出口はサンダンス(Sundance)のExit 185なので、こういう数字がわかっていれば、 州境で距離表示が変わっても、計算はそれほど難しくない。

 スペアフィッシュを過ぎ、ワイオミング州に入る。道の両側には馬が放牧されているのをよく見かける。 サンダンスのExit 185で高速を降りて、14号に入る。

 しばらく走っていると、ガソリンが無くなったというランプが点灯した。しまった。 サンダンスで入れようと思っていたのに、道なりにそのまま来てしまった。田舎道が延々と続く。 走れども走れどもなかなか町が見えて来ない。やばい。ガソリンスタンドはおろか、人家でさえほとんどない。 やばい。本当にやばい。

 この先はデビルスタワージャンクションがあるが、おそらくガソリンスタンドなどないだろう。 心配しながら、デビルスタワージャンクションにやってきた。やはり予想通り町と言えるようなところではなく、 ガソリンスタンドはなさそうだ。

 取りあえず車をとめて、交差点の角にある、ちょっと薄暗いバーに入って、近くにガソリンスタンドがないか聞いてみる。 するとカウンターの中からおじさんが出て来て、車を見に来てくれた。最寄りのガソリンスタンドは、デビルスタワーの 入り口にあって、行けばすぐにわかるそうだ。ここから6マイル。車の中を覗き込んで、ガソリンメーターの針が まだ下まで振り切っていないので多分大丈夫だろうと言う。そう言われると、なんだか大丈夫な気がしてきた。

 親切なおじさんにお礼を言って別れ、24号をデビルスタワーに向けて出発する。まだ外も明るく、車も通っているので、 もし動かなくなっても何とかなるだろうと覚悟を決める。ガソリンを少しでも節約するため、エアコンも音楽も止める。

 前方に巨大な岩の塊が見えてきた。あれがデビルスタワーか。なかなかすごそうだ。どんどん近づいてきた。 まだ大丈夫。

 距離計が6マイルを示す頃、デビルスタワーへ向かう交差点が出てきた。24号沿いにはガソリンスタンドがないようなので、 左折してデビルスタワーの方へ入って行く。まだ大丈夫。

 少し進むと、デビルスタワー国定公園の入り口が出てきた。あたりはキャンプ場になっていて、いくつもお店があり、 人もたくさんいてにぎわっている。なんとかたどり着けたようだ。時刻は7時前。車から降りてお土産屋さんで ガソリンスタンドの場所を聞く。すると、ガソリンスタンドはここにはなくて、24号沿いにあるという。 また来た道を戻らなくてはいけないようだ。あぁ、何ということだ。 とは言っても、24号まで戻るだけならせいぜい1マイルもないので、きっと何とかなるだろう。 急いで戻る。まだ大丈夫。

 24号の交差点に到着。よく見ると、左手にある商店にスタンドがあった。ガソリンスタンドといえば、 系列の石油会社名を書いた大きな看板をイメージしていたが、店先に小さなスタンドが2つほどあるだけなので、 さきほど通ったときは見落としてしまっていたのだ。

 なんとか無事に到着、やったー、車をスタンドの横に着ける。これでやっとガソリンが入れられる。 とすると、店のおじさんが近づいて来た。えっ!一瞬耳を疑う。売り切れ!?ガソリン売り切れだそうだ。 ガーン。痛すぎる。9マイル先にあるヒューレットまでいかないとガソリンはないそうだ。ガガーーン。 おじさんに、一滴でもいいから分けてくれと嘆願するが、ダメダメ、ないものはない、とのこと。 車もたくさん通るからもし途中で止まってもきっと誰かが助けてくれるよ、と言う。まーそーかもしれないけど。。

 前にいるおばあさんもガソリンをもらえなかったようで、これからヒューレットへ向かうようだ。 あれこれ言っていても仕方ないので、取りあえずヒューレットへ向けて出発する。まだ明るいし、なんとかなるだろう。

 デビルスタワーを左手に見ながらヒューレットへ向かう。9マイル。順調に行けば9分くらい。

 3マイル経過、まだ大丈夫、4マイル、5マイル、がんばれー、6マイル、7マイル、順調に進む。

 もう少しで9マイルだ。あ、右手にガソリンスタンドの看板が見えてきた。あーもう少しだ。

 祈りながら走って無事に到着した。ここはガソリンもちゃんと出るようだ。さきほどのおばあさんも無事に到着している。 よかったよかった。

Devils Tower

 ガソリンを満タンに入れてデビルスタワーに戻る。右手に、夕陽に照らされたデビルスタワーの裏側を見ながら走る。 道路沿いの看板に、デビルスタワー関連の情報が聞けるAMラジオの周波数が書いてある。 聞くとビジターセンターの営業時間は7時45分までだそうだ。マウントラシュモアのビジターセンターは夜10時まで だったので、どこでもそのくらい遅くまでやっているのかと思っていたが、そうではないようだ。急がないと。

Visitor Center
 7時25分頃、さきほど一度来たデビルスタワーの入り口を通る。入園料は$8。プレーリードッグタウンという、 プレーリードッグの観察ができるところもあるが、そこは帰りに来ることにしてビジターセンターまで急ぐ。

 ビジターセンターはデビルスタワーのすぐ足元にあった。近くで見ると大迫力だ。デビルスタワーを見上げながら、 閉まる直前のビジターセンターに入り、中を一通り見る。間に合ってよかった。

 タワーの高さは海抜5112フィート(約1558m)、地面から867フィート(約264m)。たいていの超高層ビルよりも高いと いうことだ。おととしの暮れに行ったアリゾナ州とユタ州にまたがるモニュメントバレーには、 300mを越える高さのビュート(残丘)があるので、高さの点ではモニュメントバレーの方が高いことになる。

 もっともその出来方がまるで違うので比べるものではないかもしれない。モニュメントバレーが川の侵食によって できたのに対し、デビルスタワーは6000万年ほど前に、地中からマグマが盛り上がって出来たそうだ。 いずれにしても、どちらも異様で、神秘的であるのは間違い無い。

 デビルスタワーのすぐ下は、大きな岩がごろごろしている。多分タワーから崩れ落ちたものが、 そのまま積もっているのだろう。タワーの周りを一周するトレイルを歩く。一周1.3マイル(約2km)ということで、 1時間もかからないはずだが、少し歩いているうちに日が翳ってきたので、途中で引き返すことにした。 ペコさんが小さいリスを見たと行ってはしゃいでいる。タワーに夕陽が当たってとてもきれいだ。

Devils Tower

 ビジターセンターに戻ってきた。ビジターセンターの前に双眼鏡が2つあり、タワーを見ることができるようになっている。 少年がふたりいて仲良さそうに双眼鏡を覗いていたので、後ろに座って待つ。てっきり知り合い同士かと思ったが、 話を聞いていると全然違うところからやってきた他人のようだ。アメリカ人は子供のころからフレンドリーなんだ。 しばらくして少年達が双眼鏡の順番を代わってくれた。双眼鏡は無料だった。

 覗くと山肌が間近に見える。デビルスタワーの頂上には、どうやって登ったのか、 また何故登らなくてはいけなかったのか理解ができないが、リスや蛇がいるという。 そういう小動物が本当にいるのか探してみたが、さすがに下から見ているだけでは何もわからない。 頂上付近に生えた草が静かに風にたなびいていた。

 あたりはだいぶ薄暗くなってきた。さあ出発だ。

Devils Tower

プレーリードッグタウンで一旦車を停めて、プレーリードッグを探してみる。背後にはデビルスタワーがそびえたつ。 遠くまで広がる地面には穴が無数に開いていて、あちこちでプレーリードッグが穴から顔をのぞかせている。 でも、近寄って行くとすぐに隠れる。こわいのかな。

 立て看板に、エサをやると$100の罰金と書いてあった。当たり前だ。$1000でも$10000でもいいと思う。 どんどん取り締まってほしい。エサをやるという行為が、動物を俗化させ、エサを捕る能力をそぎ、生命力を衰えさせ、 生態系を壊していくということを、みんなが十分に自覚しなければいけないと思う。

Devils Tower National Monument
 9時を過ぎ、プレーリードッグタウンを出発、デビルスタワーの入り口を通り抜ける。 入り口のキャンプ場では、人が集まって花火を上げている。 そう言えば今日は独立記念日、アメリカでは花火を打ち上げる日。キャンプも楽しそうだ。

 ガソリンが売り切れていた店を通り過ぎ、そして親切なおじさんのいるデビルスタワージャンクションのバーを 通り過ぎて走る。親切なバーのおじさん、結局紹介してもらった店にガソリンはなかったけど、 おじさんのおかげで少しの間だけでも心強く前に向かって走ることができたよ、ありがとう。

 道には街灯もなく、ずっと真っ暗だ。雨がぽつぽつと降ってきた。もともと今日はどこに行くか決めていなかったので、 宿の予約をしていない。40分ほど走ってサンダンスに戻ってきた。

 サンダンスにはBest Westernがあるそうなので、探して車を走らせる。途中にあった町のモーテルには、 Vacancyの表示が出ていたので、今日宿が全くなくて野宿しなければならないといった心配はなさそうだ。ひとまず安心。

 しばらく走るとBest Westernの看板が出てきた。玄関に車を停めて聞きに行くが、満員だそうだ。 町のモーテルなら空いているはずだよ、と教えてくれたが、明日はバッドランズの方、東に向かうので、 今夜はできれば東に向かって進んでおきたい。

 高速90に乗って、ワイオミング州からサウスダコタ州に入り、最初の町、スペアフィッシュで降りる。 まずは最初に通りかかったDays Innで聞いてみる。Best Westernはどこに行っても人気があるので満員と言われても 納得できるが、Days Innだったら、なんとなく空いているような気がする。が、満員だそうだ。時刻は10時半。 そろそろモーテルのフロントの中には(昨日のカスターのBest Westernのように)本日の営業を終了するところも 出てきそうな気がする。ちょっと焦ってきた。フロントのお姉さんによると、近くに別のモーテルがあって、 多分空いているという。

 教えられた(と思う)通りに行ってみても、それらしいモーテルが見つからない。キョロキョロして走っていると、 Best Westernの看板が出てきたので、それに従ってダメモトで行ってみる。予想通りやはり満員だった。

 フロントのお兄さんに聞くと、今日はどこも一杯だけど、Holiday Innにひとつかふたつだけ部屋が空いていたようだ。 今でも空いているかどうかわからないけど、行ってみたらどうかと言う。教えられた(と思う)通りに走るが、 Holiday Innがなかなか出て来ない。英語自体聞き取れていないこともあるし、やっぱり道は地図にかいてもらわないと、 聞くだけではわからない。

 あちこち探して、ウロウロ。道の両脇に、安そうなモーテルがいくつも並んでいるところを通る。 どこもVacancyと書いてある。もう今日はこのあたりで手を打とうということで、なんとなく明るそうだったモーテル (Queens Motel: 305 Main Street, Spearfish, SD 57783, TEL (605) 642-2631か1-800-658-5564)に車を停めて、 フロントに行く。おばさんに料金を聞くと$45.60という。お、これは安い。Best Westernの半額だ。 部屋を見せてくれと言うと、カギを渡してくれた。大きなベッドがふたつあり、エアコンもカラーテレビもあって、 確かにちょっと安そうな作りだけど、特に問題はなさそうだ。おばさんの愛想も良いので、文句はない。決めた。 先払いだが、クレジットカードも使える。

 今日はまだ夕食を食べていないので、車で町まで出かける。Arby'sがあったので入る。 チキンのハンバーガー、ビーフのハンバーガー、サラダを食べる。なかなか美味しい。 11時で店が閉まったので、最後の客になった。

 モーテルに戻って、就寝。



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