Kamo mini
 2日目その1: 洞窟を探検するぞ!
 ホワイツシティ→カールスバッド洞穴 (1998/7/4その1)
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Carlesbad Caverns National Park
 朝8時過ぎにモーテルを出発。今日は午前中もう一度鍾乳洞に入り、午後からホワイトサンズ国定公園へ向かう予定。 ビジターセンターには8時半すぎに到着。今日参加するキングスパレス・ガイドツアーは、地下のエレベータを降りた ところに集合して、9時出発ということだ。エレベータに乗ろうとビジターセンターに入ったところ、なんとチケットを 買い求める人の長蛇の列が続いている。チケットを前の日に買っておいてよかったと思う。もしこの行列に並んでいたら、 予約していた9時のツアーには間に合わなかったかもしれない。

 昨日に続き、再びエレベータで地下に降りる。相変わらずひんやりとしている。地下の軽食レストランが オープンし始める時だったので、コーヒーにオレンジジュース、アップルパイを買って食べる。岩盤に囲まれた 薄暗い光の下で、何とも不思議な雰囲気だ。アメリカではどんな観光地に行っても、物の値段が一気に跳ね上がったり することがあまりないが、このような地底レストランでさえも、値段は町中のレストランとほとんど変わらないことに 感心する。

 9時が近づき、人が集まってきた。上品なレンジャーのおばさんが、集まった人を誘導して、チケットをチェックしてから、 いろいろ説明を始めた。キングスパレスのコースも、以前はビッグルームと同じで、各人が自由に行けるコースだったのだが、 鍾乳洞の傷みが激しいということで、ガイド同行のツアーでしか行けないようになったようだ。全長1マイル(約1.6km)、 所要時間1時間半のツアーにいざ出発。

Kings Palace
 このツアーでは、Scenic Roomsという名前の付いた一帯を巡る。一番深いところでは、地表より830フィート(253m) にもなり、カールスバッド洞穴では一般に公開されている中で一番深い地点になるそうだ。要所ごとに立ち止まって、 ガイドのレンジャーさんが解説をしてくれる。初めてこの洞窟が発見されたときのことや、それが世の中にどういうように 紹介されていったか、鍾乳石がどういうように成長するかというような話があった。

 その昔ニューメキシコの地を探検した人が、洞窟の中に戻ってくるコウモリを見て、この巨大な洞窟を発見したという。 今では通路も整備されて、照明も付き、散歩気分で洞窟内を歩くことができるが、当時はそういうものは一切あるはずもなく、 たいへんな探検だったに違いない。暗い洞窟の中で時間をかけて撮った美しい鍾乳石の写真を新聞社に持ち込んで、 この洞窟の存在が徐々に世間に知られることになったということだ。探検の途中で足を折ったとか、 救出に何日もかかったという話を聞き、今自分達がこんな簡単に洞窟に入って来られるようになったことに感謝する。

 このツアーの中で感心するのは、「何か質問がありますか」とか、「これは何故だと思いますか」というレンジャーさんの 問いかけに、必ずあちこちから反応があることだ。アメリカでは、自分の意見を言ったり、主張したりすることが大事で、 小さい時から活発に発言するように教育を受けるというような話を聞いていたが、本当にそうなんだと実感する。 日本だったら(自分も含め)、人目を気にして尻込みしたり、白けてみたりするようなこともあると思うが、 アメリカの人々の、活発な、かと言って出しゃばるわけでもない、素直で前向きな姿に、すがすがしいものを感じる。

Bashful Elephant
 Papoose Room, Queens Chamber, Kings Palace, Green Lake Roomという部屋を次々にまわる。 Queens Chamberのカーテンのように広がる繊細で神秘的な鍾乳石には、ただただ感心するばかりだ。 遊園地やテーマパークにも、大きな岩を並べるなどして現実離れした空間を作り上げようとしているところがあるが、 今目の前にしている光景は、そういう作り物ではなくて、まさに自然なのだということが、とても信じられない。

 どうしても気になって手を伸ばして鍾乳石に触ろうとしたペコさんに、後ろのおじさんが、「触っちゃだめだよ」の一言。 いいなぁ、他人にもこういうふうにサラッと注意できる雰囲気。みんなこうでなくっちゃいけないよね、と思う。

 立ち止まってレンジャーさんが何か解説をしているとき、突然照明が消え、急にあたりが真っ暗になった。 話をよく聞いていなかったのでわからなかったが、どうやら洞窟の照明を消して暗黒の世界を見せてくれるという イベントのようだ。人工の光がなくなって初めて、ここが闇の世界なのだということを実感する。当たり前のことだが、 目が慣れてきても本当に真っ暗で全く何も見えない。こういうところを、限られた照明だけを頼りに探検した昔の人の 勇気を称えたい気持ちになった。

 10時40分頃にツアー終了。エレベータで地表のビジターセンターに戻る。昼までにはちょっと時間があるが、 ビジターセンター内のレストランで昼ご飯を食べることにする。いかにも観光施設の中のレストランという感じの店 だったが、ハンバーガー、コーンドッグ、フィッシュナゲットなど、意外に悪くなかった(計$12.90)。

Natural Entrance

 12時頃、三度目の洞窟入り。今度はエレベータではなく、自然にできた入り口、ナチュラルエントランスから入る。 昨日コウモリを見た野外劇場の横を通って、そのコウモリが出てきた洞窟の中へと下っていく。足元は悪くないが、 急な坂道だ。地下に向かって一方通行になっていて、昨日と今朝利用したエレベータの地下の乗り場まで続いている。

Whale's Mouth
 坂道を降りるに従って入り口から差し込む光が弱くなっていく。今は頭上をツバメが飛び交っているが、 この上を昨日の夕方見たようなコウモリの大群が飛んでいく光景を、洞窟の中から是非見上げてみたいものだと思う。

 しばらく降りると、Bat Caveという、昨日のコウモリが寝静まっているという大きな洞穴があった。 奥の方まで続いていて、コウモリはその天井に逆さまにぶら下がっているらしい。約30cm平方の中に、 300羽のコウモリがひしめき合っているということだが、残念ながら真っ暗で何も見えない。

 ヘッドホンを付けて歩いている人がいる。ビジターセンターで$3で貸してくれるそうだ。鍾乳洞の見所を解説して くれるということだ。カセットテープかと思ったらCDだった。歩くスピードは人によって違うはずから、早送りしたり 巻き戻したり、たいへんだろうと思っていたら、なんと鍾乳洞の要所要所で発信されている信号をキャッチして、 自動的に再生されるということだ。

 自然光が届かなくなり、いよいよ本格的な洞窟の雰囲気になってきた。昨日見たような奇妙な岩がたくさん現れてきた。 Whale's Mouthという鍾乳石があり、文字通り鯨が大きく口を開けたような形になっていて、うまく名付けたものだと思う。 暗黒の世界の中に、芸術的な鍾乳石が次々に現れ、自然の神秘を感じる。

the Main Corridor

 1時半頃、地下のエレベータ乗り場に到着。降り始めてから1時間半くらいたっているが、本当にあっと言う間だった。 地下の土産屋物さんで絵葉書を買い、エレベータで地上へ戻る。これで鍾乳洞とお別れだ。



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