2日目その2:
白い砂丘を見るぞ!
カールスバッド洞穴→アラモゴルド→ホワイトサンズ→アラモゴルド (1998/7/4その2)
外は眩しく暑い。車に乗って、ホワイトサンズへ出発。ビジターセンターを出てしばらく行くと、左手に
シーニックドライブへ入る道がある。前に見ていたインターネットのホームページに、
あまり面白くなかったというようなことが書いてあったが、距離も9マイルとそんなに長くないから、
とりあえず行ってみることにする(これが失敗)。シーニックドライブが舗装されていない道だったことに気づくが、
一方通行のため引き返すこともできず、とりあえず前に進む。ビジターセンターから見たような、
広大な風景が目の前に展開されることを期待しているのだが、一向にその気配がない。
周りにはサボテンなどの植物がぽつぽつと生え、中途半端な山や崖に囲まれたまま、状態の悪い道を進む。
アメリカでドライブの時間を見込む時は、たいてい1分1マイル(時速60マイル=96km)と考えるため、
9マイルと言えばすぐに9分と思ってしまうが、この道では時速20マイルがやっと。ということは、
このようなつまらない状態が30分間も続くのかと思うと、うんざりする。結局特筆するものもないままに、
シーニックドライブが終わり、元の道に合流する。
この時間のロスを取り戻すべく、ホワイトサンズへ急ぐ。昨日泊まったホワイツシティを過ぎ、カールスバッド、
アーテジアまで来て、ずいぶん走った気がするが、まだ全体の半分も来ていない。あまり特徴のない道を延々と
走り続ける。後半部分のアラモゴルドまでは山道が続く。道の左右に牛がたくさん飼われているので、
動物好きにはちょっとした退屈しのぎになる。
今日宿泊予定のアラモゴルドの町を過ぎた時は、もう5時をまわっていた。5時半頃、道の右手前方に白い砂山の
ようなものが見えてきて、ようやくホワイトサンズ国定公園に到着。
US-70沿いの右手にビジターセンターある。ビジターセンターには、何故ここの砂が白いかの説明や、
どういう生物がいるのかということが紹介されている。日本人の観光客もいる。ビジターセンターの前にある
木の上の方に、鳥が巣を作っていて、中に小鳥がいてかわいい。
夕方7時からレンジャーによる砂丘のガイドツアーがあるということで、それまでの間に車でデューン・ドライブを
往復することにする。ビジターセンターを出てすぐにゲートがある。ホワイトサンズは国定公園(National Monument)で、
国立公園(National Park)ではないのだが、ゴールデンイーグルパスがそのまま使えた。
デューン・ドライブも初めのうちしばらくは普通の景色だが、途中からまわりが白一色になってきた。なかなかすごい。
道路以外はあたり一面が真っ白、アスファルト道路の脇が少し黒っぽくなっているという点では、まさに雪景色のようだ。
そういう意味では、雪景色を知っているわれわれには、視覚的なインパクトはあまりないかもしれない。
砂丘では、子供たちがそりを持って白砂の山を駆け上がり、滑り降りている。触れてはいけないという鍾乳洞とは
一転して、自由な感じでよい。車は途中から白い砂の上を走ることになるが、雪道とは違ってタイヤが滑ることはない。
終点のループにある大きな駐車場で車を止め、砂丘に入る。早速砂を手にして見たが、サラサラ。
あたり一面が真っ白で、たいへん美しい。これで空が青かったら文句がないのだが、残念ながら今にも降り出しそうな
曇り空だ。
記念撮影をしてから、ビジターセンターに戻る。白い砂丘が終わった頃、左右に茂みの中からウサギが車の前に急に
飛び出して来て一瞬ヒヤッとする。ウサギもびっくりしたようで、すぐに茂みに戻って行った。うたた寝をしていた
助手席のペコさんが急ブレーキで飛び起き、そのウサギを見て「あっ、雷鳥」とわけのわからないことを言う。
「どう見てもウサギやて」。ここに来る前に本の写真で見た、雷鳥に会いたかったらしい。
砂丘のガイドツアーは、デューンドライブの途中にあるポイントからスタートした、と地球の歩き方に書いてあった。
先ほどビジターセンターで立て看板を見た時、ビジターセンターに集合するようにと書いてあったような気がしたので
戻ってきたのだが、人が集まっている様子でもない。聞いてみるとやはりデューンドライブの途中にあるポイントに
集合するということだ。確かに立て看板をもう一度良く読んでみると、そう書いてある。あわててまた逆戻り。
ゲートのお姉さんは「さっき通ったわね」と笑顔で通してくれた。
7時を過ぎた頃、レンジャーがやってきて人数を数え始めた。集まった34人の中で、数えてみるとなんとその半分を
越える18人が日本人だ。これを「地球の歩き方効果」と名付ける(本当にそうかどうかはわからないけど)。
その後二組にわかれて、別々のコースを行く。
レンジャーのおじさんは以前学校の先生をしていて、退職してから今の仕事に就いたそうだ。木が生えているところで
立ち止まっては、砂のことや、虫や植物の話をしてくれる。白い砂の正体は石膏で、非常に柔らかいため車の塗装を
はがしたりすることはなく、また砂を水の中に入れておくと2年で溶けてしまうという。またこの白い砂の下にも
地下水が流れていて、植物が生えているところといないところがあるのは、その地下水の流れの関係だということだ。
ここで一人のアメリカ人少年に注目。少年はレンジャーの解説が始まるや否や、不敵にもその話には耳を貸さず、
近くで砂遊びを始める。掘ったり盛ったり寝転んだり、彼なりの作品を作り上げようとしているようだ。
解説が終わってみんなが次のポイントに進もうとすると、今度は駆け寄ってきて先頭のレンジャーと一緒に次のポイントへ
向かう。でも次のポイントではまた一人で作品作りに精を出すという、こういう感じだ。学校でも「落ち着きがない」
とか言われているんだろうなと思う。レンジャーが解説している途中で、少年が母親を呼ぶ。「おかん、これ見てくれ」。
ここで次の展開としては、「あんたさっきから何やってんの!ちゃんとレンジャーさんの話を聞かないと駄目でしょ!」
というおかんの説教が響くのかと思ったら、なんと、少年に呼ばれたおかんは、おもむろにビデオで少年の作品を撮り始めた。
なるほど!これがアメリカか。そうだ、これなんだ。将来少年が天才芸術家になったとしたら、その理由は他でもない、
このおかんの教育方法にあるのは間違いない。
8時すぎにツアー終了、夕暮れの白い砂丘の上で、しばらくボーッとする。至福の時間が過ぎる・・・。
あたりが暗くなり、今夜の宿があるアラモゴルドに戻る。あちこちで独立記念日の花火が打ち上げられている。
途中アラモゴルドの町の道路が一部水浸しになっていた。どうやらこのあたりだけ夕立が降ったようだ。
水浸しの中を車でザブザブ進むのが珍しいらしく、助手席のペコさんが大喜びしている。
ベストウェスタンが満員で予約できなかったので、今夜の宿泊はSUPER 8 MOTEL。ここも今日は満室のようだ。
一泊$42.80と安いだけあって部屋は狭い(と言っても日本の普通のビジネスホテルくらい)。
モーテルのお姉さんにお薦めのレストランを聞くが、今日に限ってはほとんどのところが休みになるようだ。
ここへ来る時にも「鮑」と大きく看板の上がった中華料理屋など、いくつかレストランはあったが、どこも閉まっていた。
仕方なく、SUBWAYでサンドイッチとサラダを食べる。ふたりで$8.77。昨日今日と、さみしい夕食が続く。
宿のすぐ近くでも花火が上がっている。部屋に戻って就寝。