7日目:
すごい迫力!巨岩ザイオン!
マウントカーメルジャンクション→ザイオン→ラスベガス (1998/1/2)
モーテル前のコンビニで朝食用にコーヒーとパンを購入。ザイオンへ向かう車の中で食べる。
ザイオンが近づいてきたのか、道路に迫るように大きな岩が現れ始める。それからしばらく走ると道路の
アスファルトの色が周りの自然の色に合わせて赤茶色に変わった。ザイオン国立公園に入ったしるしだ。
歓迎するかのように、道の両脇にシカくんもいる。すぐにゲートがあり、お兄さんが地図をくれた。
グランドキャニオンで買った国立公園共通パスを見せて通る。グランドキャニオンの後は、
アーチーズでもブライスキャニオンでも冬場だったせいかゲートに人がいなかったので、
パスを見せるのはこれが二回目になる。
チェッカーボードメサという、表面に網の目のような模様を持つ巨大な岩があり、車を停めて写真を撮る。
このあたりはザイオンの公園東部。このあと長いトンネルをくぐって、いよいよ公園の中心に入っていく。
トンネルにはいくつか横穴が開いていて、そこから外が見える。一瞬しか見えないが、これから見ることになる景色を
期待させるには十分な景色だ。
ザイオンは今日まで見てきた国立公園とはまた赴きが異なり、岩の芸術と呼ばれる通り、巨大な岩がそびえ立っている。
風景としては、山あり、川あり、緑あり、そういう意味ではいままで見てきたものの中で一番日本で見るような景色に近い。
ただしその山が岩でできていて、またそのスケールがとてつもなく大きく、中には高さが1000mを越えるような岩壁も
あるということだ。
トンネルを抜けると、岩山が目の前に立ちはだかる。きれい、というか、大きい。ヴァージン川にかかる橋で写真を撮る。
橋も景色に合わせた色調にしてある。その後ビジターセンターに行く。ビジターセンターの中ではザイオンを紹介する
短い映画をやっていたので観る。受付で係のおばさんにお薦めのトレイルを聞く。雪のためにいくつかのトレイルが
閉鎖されているとのこと。それ以外のトレイルの中からお薦めのトレイルを教えてもらって行動開始。
にこやかで品のよさそうなおばさんだ。
来た道を少し戻って、シーニックドライブというドライブウェイを通って山の奥に入っていく。
ウィーピングロックという片道15分ほどの短いトレイルを歩くことにする。このトレイルはビジターセンターで
聞いた時には雪のため閉鎖中ということであったが、多くの観光客がどんどん行くのでついていってみると、
なんのことはない、一ヶ所5メーターほどの間だけ雪が道に残っているだけで、歩くには何の問題もない。
これを閉鎖していたら、グランドキャニオンやブライスキャニオンのトレイルはどこもすべて閉鎖しなくては
いけないことになる。ザイオンの人は慎重なのか。トレイルの終点には、滝壷のように岩が少し奥へえぐられた
ようになっているところがあり、岩壁からは水が滴り落ちている。その上の方を見上げると、岩盤が天に向かって
垂直に続いている。
シーニックドライブの終点からはリバーサイドウォークというトレイルを歩く。片道40分ほどのトレイル。
ヴァージン川の両岸には、何百メーターもの高さの岩山が迫っている。地震が来て崩れでもしたらたいへんだ。
実際トレイルにあった案内板には、19XX年に山の一部が崩落したということで、それより前に撮った写真が貼ってあった。
このトレイルも雪のため途中から閉鎖していると聞いており、通行止めの看板もあるが、観光客は誰一人として
気にせずに進んでいる。実際ウィーピングロックと同じで、雪が道にほんの少し残っているところが一ヶ所だけあった。
エメラルドグリーンの川が美しい。プロかと思われるような写真家さんたちもたくさん来ている。トレイルの終点に到着。
そこから先はナローズと呼ばれており、川の両岸が直接岩山になっていて歩くスペースはない。夏であればこの川の中を
ジャブジャブと奥の方まで進んで行って、両側の岩がもっと迫ってくるのを楽しむことができるようだ。
来た道を戻って、ザイオンロッジで駐車。そこから往復1時間ほどのトレイルを歩き、エメラルドプールという池を
見に行った。ザイオンロッジではお土産にぼくの帽子を買った。
今回は正月休みを利用してやってきたが、ザイオンに来るまでの間は、「雪化粧がきれい、トレイルを歩くのが
苦にならない、夜早く寝るので早起きが苦にならず朝日を楽しむことができる、道路が混まない、宿泊費が安い」
ということで、冬に来たことが大正解だったとずっと話していた。しかしここザイオンでは、春夏であれば小動物が顔を見せ、
高原植物が咲き乱れるということだが、この旅行ではそういう感動がほとんどなく残念だった。また春か夏に来たいねと
話しながらザイオンを去ることにする。
ザイオン国立公園を出てすぐの所にアイマックスシアターという巨大スクリーンで映像を見せるところがある。
ガイドブックによると、今回見てきた国立公園を空から撮影した迫力満点の映像を見ることができるということだったが、
行ってみると「アラスカの自然」を紹介する映像だったので見ないことにする。ペコさんのお土産に、
見てきた風景の絵葉書を選んで、いよいよラスベガスに向けて出発。
ラスベガスまでは約2時間半。ザイオンを離れてからもしばらくは美しい岩山がずっと続いている。どこまでが国立公園で
どこまでは名もない土地なのか、景色を見ているだけでははっきりと区別ができない。国立公園の周辺では、
そういう所が多い。
それにしてもアメリカの自然はすごい。まず何よりスケールがでかい。また奇妙な形の岩も多かったが、
どれも気が遠くなるような時間をかけて、地殻変動と、川の水、風、雨によってできたものだという。
今日のその姿もその変化の過程の途中に過ぎない。その悠久の年月を思うと気が遠くなりそうだ。
砂漠の中を延々と走ると、ついに遠くの方にラスベガスの街が顔を見せた。やはり一番高いストラストフィアタワーが
最も目立つ。自動車の量も次第に増えてきて、ひさびさの都会に戻ってきた感覚だ。ラスベガスではまず食事ということで、
一番評判の高い、ホテルリオスイートのバフェ(日本語のビュッフェ、バイキング形式の食事のこと)に行くことにする。
車の流れの中を縫うようにしてフリーウェイを下り、ホテルリオスイートの駐車場へ車を止めて、ホテルに入る。
玄関を入るとそこはもうカジノ。スロットマシンから出る電子音で、異様な雰囲気。そのカジノの中を通って、
ラスベガスナンバー1の誉れ高きバフェ、カーニバルワールドバフェへ向かう。静かな大自然の中から、
人間があふれる人工の街にやって来た、この突然の環境変化はすごい。今までの観光地で見てきたような人々とは
服装も違えば、人種の構成も違う。ラスベガスでは着飾った人も多く、またなぜか南米系、中国系の人がたいへん多い。
そういう人込みの中、カーニバルワールドバフェでは40分待ってやっとテーブルに着くことができた。
二人$23.43で食べ放題。中にはイタリア、中華、メキシコなど各国の料理を出すコーナーがある。巻き寿司を出す
日本食のコーナーや、ハンバーガー、デザートのコーナーもある。またそのどれもがなかなかおいしい。
なるほど人気が出るわけだ。今日は朝昼とほとんどろくに食事ができていなかったので、ここぞとばかりに食べる。
野菜と肉を炒めたアマゾンの料理がおいしかった。
キャディラックくんと、ついにお別れするときが来た。この一週間よく走ってくれた。ガソリンを満タンにして
レンタカー屋さんに返す。割れたフロントガラスには、やっぱり保険は効かないようだ。費用の件は後日電話をして
確認することになった。いくら請求されることになるのか、不安は残るがまあ仕方がない。
その後レンタカー屋さんのシャトルバスで、宿泊するホテルミラージまで送ってもらう。さすがラスベガス、
街は電飾でギラギラ。ガイドブックで見ていたホテルを実際に間近で見ることができて、うれしい。
ミラージに到着したときは、有名な火山の爆発ショーの最中だった。ミラージのことを日本語でミラージュと
表記してあるガイドブックも多いが、発音に忠実に表記するとミラージが正しいと主張するインターネットの
ホームページがあったので、それに従ってミラージと書くことにする。
ミラージのチェックインカウンターの奥は、聞いていた通り全面が大きな水槽になっており、熱帯魚が泳いでいる。
ミラージは南国の楽園がテーマになっているということで、ホテルの中にも熱帯雨林の庭園があり、滝が流れている。
チェックインの後、カジノの中をスーツケースをゴロゴロ引きずりエレベータに乗る。またエレベータから部屋までが
これまた長い。エレベータを下りてから2分くらい歩いて、ようやく部屋に到着。荷物を置いて一休みするや否や、
ラスベガスの夜を無駄にせぬよう早速外出。事前にインターネットで調べて面白そうだった、
ラクソーのショー「イマジン」を観に行くことにする。ザイオンのあるユタ州とここラスベガスのあるネバダ州は
1時間の時差があるので、今夜は一時間長いことになる。旅行中早寝早起きの規則正しい生活をしていたのに、
ここに来て一気に崩れることになった。
バリーズホテルからMGMグランドホテルとの間を結ぶモノレールに乗ってラクソーへ向かう。このモノレールに
乗るためには両方のホテルでカジノの中を歩かされることになるが、モノレールは無料だ。
MGMからラクソーまで急ぎ足で歩いて、開演時間10時半ぎりぎりに間に合った。
ラクソーは古代エジプトをイメージして作られたホテルで、建物はピラミッドの形そのもの、中にもそれらしい石像や
装飾があり、個性的なホテルだ。このホテルも日本語ではルクソールと表記してあるケースが多いが、ラクソーが原音に
忠実ということだ。チケットオフィスでイマジンのチケットを購入。会場が大きく、満席にはならないらしい。
一人$39.95。幻想的な踊りや、アクロバット、マジックなどが盛りだくさん、音楽も生演奏で、評判通りたいへん
面白かった。
ショーの後、歩いてミラージへ戻る。夜の1時だというのに街は明るく人で賑わっている。ラスベガスはアメリカで
一番治安のよい街だと言われるのがわかる。途中、ベラージオという巨大なホテルが建設中だった。
ミラージでは、またカジノの中を通り、エレベータを下りてからまた長い通路を通って部屋に到着。
夜も遅く、くたくたに疲れて、就寝。