2日目その2:
イエローストーンの峡谷に怒涛のロウアー滝!
オールドフェイスフル→ロウアーガイザーベイスン→キャニオンヴィレッジ→レイクヴィレッジ (1998/5/24その2)
オールドフェイスフルから、ロウアーガイザー・ベイスンへ向かう。このあたりは緑の草原が広がり、
そこに流れる川は地面と同じくらいの高さの川面で、景色にみずみずしさを与えている。
雨でも降れば氾濫しそうなくらいだ。
しばらく走ったあと、脇道へそれて、ファイアーホールレイク・ドライブを通る。結構広い道だが一方通行だ。
このあたりでも動物に会えるということで、キョロキョロ探すのだが見当たらない。いくつかガイザーを見たあと、
ホワイトドーム・ガイザーというところで車を降りると、温泉が突然噴き出した。
結構激しく噴いている。とても良いタイミングで到着したようだ。地図にもガイドブックにも全く載っていないが、
なかなか立派なガイザーだ。3分間くらい見た後で、勢いがなくなり、やがて止まった。
しばらく走ると大きな池が見えてきた。ファイアーホール・レイクというから、池ではなくて湖か。
温泉の湯気がモクモク、黄色い花が咲き、緑の草、池の周りは鉱物でオレンジ色になっており、たいへん美しい。
ファイアーホールレイク・ドライブの終点、つまり本道に戻ってきたあたりに、ファウンテンペイント・ポットの
トレイルがある。車を停めてトレイルを歩く。きれいな温泉を見ながらしばらく行くと、
ファウンテンペイント・ポットという、泥がグツグツ煮え返っているような池がある。
トレイルの入り口に、泥のアブクがたまたまブタさん(ペコさんはクマさんだと言って引き下がらないのだが・・・)の
ように見えるような写真が掲示してあったので、池の表面を探すが、ブタさんもクマさんも見つからなかった。
トレイルの奥には、勢いよく噴出しているガイザーがある。クレサイドラ・ガイザーといって、
ずっと噴出しつづけているということだ。平原が続き、遠くには山が見え、たいへんすばらしい景色だ。
少しずつ日が陰ってきた。本日の最終目的地、キャニオン・ビレッジへ向かうことにする。
途中に通るノリスガイザー・ベイスンの一帯もおもしろそうだが、そこは時間があれば明日訪れることして、通り過ぎる。
ちょっと路面状態の悪い道を40分ほど走り、キャニオン・ビレッジに到着。
一方通行の道を通って、インスピレーション・ポイントへ向かう。インスピレーション・ポイント、
確かブライスキャニオン国立公園にも同じ名前のポイントがあったような。
車を停めて階段を降りて崖の上の展望台まで向かう。初めて見るイエローストーンのキャニオン。
谷底にはイエローストーン・リバーが流れ、なかなか迫力のある峡谷だ。うーんなるほど。
イエローストーンとは、よく言ったものだ。対岸の崖も、本当に黄色い。硫黄の色だという。
谷底に川の上流側にはロウアー滝が遠くに見える。
この前の正月休みに行った、アリゾナの本家グランドキャニオンは大きかった。
崖の高さも、峡谷の広がりも、そのスケールは文句無しの「大峡谷」だった。
崖の凹凸による立体感、地層の色合いも美しかった。
その点、このイエローストーンのキャニオンは、規模ではグランドキャニオンに遠く及ばないが、
谷底にはイエローストーン川の濁流を、またその上流には怒涛のように流れ落ちるロウアー滝、アッパー滝を、
目で、そして耳で感じ、ダイナミックな景色が楽しめるという点では、なかなかすばらしいように思う。
グランドビュー・ポイントへ移動。ロウアー滝が近くなってきた。展望台の横に立て看板を見つける。
「Grand Canyon of the Yellowstone」。この峡谷の正式名称は、
なんとグランドキャニオン・オブ・ザ・イエローストーン、というらしい。
ちょっと待ったー。なんだ、なんだ、その名前は。なんでグランドキャニオンなんて名乗るの。
なんでそんな卑屈な、おもねるような名前にするの。グランドキャニオン・オブ・ザ・イエローストーン。
そんな言い方しなくてもいいんじゃないの。アリゾナのグランドキャニオンとは趣が違うことを誇りに思えないの。
アメリカで初めての国立公園だという気概はないの。
そんな名前を付けている限り、本家グランドキャニオンを越すことはできないぞ。
次のポイント、ルックアット・ポイントまで来ると、かなり間近にロウアー滝を見ることができる。
その次の駐車場に車を停めて、ブリンクオブフォール・トレイルを降りる。
このトレイルからは、さらに上流のアッパー滝の姿も見える。
ロウアー滝の近くまでいくのだろうなと思いながら10分ほど降りていくと、滝の真上に出た。
穏やかに流れてきた緑色の川が、足元からゴゴッオオと音を立てて滝壷へ落ちて行くのが目の前で見える。
これはすごい。大迫力だ。吸い込まれて行きそうで、足が竦んでしまう。
しばらく眺めた後、来たトレイルを駐車場まで戻る。距離はそれほど長くはないが、帰りはかなりきつい上り坂だ。
サンダルで来ていたインド人のおばさん達は、ちょっと歩きにくそう。
グランドキャニオン・オブ・ザ・イエローストーンを離れ、今晩の宿泊先に向かう。
動物がたくさん現れるという、ヘイデンバレイを通る。時も夕方で、また何か動物に会えるかもしれない。
イエローストーン・リバーが蛇行して流れる緑の草原、夕陽に映える遠くの山々。美しい光景。
おっと、車が停まっているぞ、と思ったら、いたいた、バイソンだ、バイソンだ。
バイソンがなんとアスファルトの道路を歩いている。3頭のバイソンが、車には全然目もくれずにゆっくりと道路を歩いて、
車のすぐそばを通る。大接近。でかい、でかい。ペコさん感激のあまり、絶叫。バイソン、体は大きいけど、かわいいなぁ。
クリっとした目をして、ノソノソして。
感激も覚めやらぬうちに、今日の宿泊先、レイク・イエローストーン・ホテル&キャビンズに到着。
イエローストーン・レイクの湖畔に建つ、オシャレなホテルだ。
チェックインしている間、ペコさんは夕陽を浴びる山々を見に、湖畔に出ていった。
チェックインが終わったときにはもう日が沈んでいたため、ほんのわずかの間にきれいな景色を見ることができたと、
ペコさん得意気。チェックインが済み、階段を上がって2階の部屋に向かう。
出発前に予約した時、イエローストーンの中のホテル・ロッジはどこも満員で、
このホテルの一部屋$142という高い部屋しか空いていなかった。湖の見えない部屋なら$130ということだったが、
どうせそこまで払うのなら、眺めのいい部屋を、ということで、湖側の部屋を予約していた。
そういう期待をしながら部屋に入る。飾ってある絵もきれいで、普段泊まっているモーテルよりは広いし、
ちょとは高級かなぁという感じではある。でも、確かに湖は見えるけど、窓は小さく、桟も網戸もあって、
また窓の外には広いバルコニー(出られない)があって、遠くの方に湖が見えるというだけだ。
これはちょっと期待外れだぞ。
荷物を置いて食事に行く。ロビーではピアノの生演奏をしている。いい感じだ。
この旅行では、5月の後半ということで日本の長期休暇期間ではないため、日本人旅行者に会うことはあまりなかったが、
このホテルの中には、日本人の観光客が何組もいるようだ。
夕食は、ペコさんはトラウト、ぼくはスパゲッティを食べた。
トラウトとはマスのことで、アメリカのレストランでよくメニューに載っている代表的な魚だ。
久しぶりにビールも飲む。うまい。それでも全部で$34.60と、意外に安かった。
ほろ酔い気分で就寝。明日はいよいよ念願のムースに会いに、グランドティトン国立公園へ向かう。